ミズナラを中心とした広葉樹の森は、長年人手が加えられず放置され、林床にクマザサが生い茂っていた。密生していた森を間伐し、ササを刈り、落ち葉をかき、長い時間をかけて森の手入れを行ってきた。やがて、太陽の光が林床に注がれるようになり、地中に眠っていた草花の種子が芽を出し、さまざまな野の花の咲く森へと甦っていった。
従来の庭づくりは、新たな植物を導入する「足し算」のデザインが生かされてきた。フォレストガーデンは、高野ランドスケーププランニングによって森の特性を見極め、その魅力を育てていくための庭づくりが計画され、自然の営力を生かした「引き算」のデザインを試みている。