十勝千年の森を訪れる人々に「農と食と庭のつながり」を感じてもらう場として展開するファームガーデン。野菜やハーブがのびのびと育つキッチンガーデンやヤギを飼育するゴートファームなど農の営みが織り成す風景が広がる。2012年よりローズガーデンと、アップルガーデンを含むオーチャード(果樹園)が加わり、4つのエリアからなる。
十勝千年の森を取り巻く豊かな自然環境に学びながら、オーガニック・ガーデニングを実践。健やかで心地よい庭づくりを通して、庭と暮らす愉しみを伝えるべく取り組んでいる。
十勝千年の森には、自然と共生するための営みである農業を実践し、訪れる人に"農"と"食"と"庭"のつながりを感じてもらう取り組みがあります。農業王国・十勝ならではの、「農の営み」が織り成す風景が広がります。
十勝千年の森を訪れる人々に「農と食と庭のつながり」を感じてもらう場として展開するファームガーデン。野菜やハーブがのびのびと育つキッチンガーデンやヤギを飼育するゴートファームなど農の営みが織り成す風景が広がる。2012年よりローズガーデンと、アップルガーデンを含むオーチャード(果樹園)が加わり、4つのエリアからなる。
十勝千年の森を取り巻く豊かな自然環境に学びながら、オーガニック・ガーデニングを実践。健やかで心地よい庭づくりを通して、庭と暮らす愉しみを伝えるべく取り組んでいる。
まるで畑を切り取ったかのようなレイズドベッド(上げ床花壇)が美しく点在するキッチンガーデンは、ガーデンデザイナー、ダン・ピアソンによってデザインされた。緩やかに傾斜する地形に合わせて造られたベッドは、立つ場所によって高さが異なり、さまざまな角度から野菜たちが育つ姿を見ることができる。ガーデン内にはチーズ工房とヤギ舍、ガーデンカフェが隣接する。
十勝千年の森では毎年キッチンガーデンの植栽テーマをベッドごとに設け、お互いの生長を良くするコンパニオン・プランツの働きを取り入れながら、 野菜、ハーブ、花々の鮮やかでユニークな色や造形、質感などが最大限に生かされるよう計画を立てている。
「成功する庭づくりの秘訣は土づくり半分、品種選び半分」を信条とし、有機栽培をベースに森の落ち葉や家畜のふん、レンストランの食物残さなどを利用して自家製堆肥を作るなど独自の循環型ガーデニングを目指している。作物の品種選びは、古くから代々引き継がれてきたエアルーム・シード(Heirloom Seed )や固定種、在来種などを積極的に取り入れている。
「食べる庭」とも呼ばれるキッチンガーデン。日々の食べ物がどのように育つのかを理解してもらおうと、野菜が生長する姿を段階ごとに見せ、訪れる人々に「安全・安心な食とは何か」を問いかけている。
隣接するガーデンカフェではキッチンガーデンが目の前に広がる風景の中でゆっくりとお茶の時間を楽しむことができる。カフェ内にはおすすめのガーデンツールを販売するショップの他、愛らしいガーデナーの小部屋がある。ガーデナーたちの日々の庭仕事や注目している植物、大切にしている種や道具、庭の図面やスケッチなどさまざまなアイデアにあふれた場となっており、庭と暮らすことを楽しむガーデナーたちの様子が感じられる。
2007年、完成したばかりのキッチンガーデン。ブロックの芝目地はまだ十分に育っていない。レイズドベッドは栽培管理しやすく機能的でありながら、幾何学的なデザインの美しさを感じさせる。中央に伸びる枕木園路はメドウガーデンとつながる。
かつて馬場だった敷地内にあるキッチンガーデン。ガーデンカフェは馬小屋を改築して造られた。写真は工事前の様子。
2008年にダン・ピアソン来勝。キッチンガーデンとよりつながりを持たせ、ガーデンカフェらしさを出すためテラスとパーゴラを検討。具体的なサイズや位置出しなどの打ち合わせを行った。パーゴラにはキッチンガーデンに合わせてコクワやブドウなどの果樹を這わせる。
2008年ガーデンカフェ竣工。閉ざされていた壁にキッチンガーデンを見渡せる窓がつき、雨天時でも中から景色を楽しむことができるようになった。気持ちの良い天気の日にテラスでゆっくりと過ごせば、和やかな庭の時間が流れる。隣接するヤギ舍からはヤギたちの鳴き声が聞こえ、のどかな雰囲気だ。ヤギ舍の窓からは搾乳風景が見られる。
雪解け後、まもなくして堆肥の鋤き込みなどの土づくりや種まき、鉢上げなどの育苗作業が一斉に始まる。支柱は森からヤナギやシラカバなどの材料を採って作る。本格的な植栽は5月下旬から6月上旬にかけて行う。6月はまだ遅霜の恐れがあるため、毎日ベッドごとフリース(不織布)で覆って植物たちを守る。春から秋にかけて剪定や誘引、収穫、植え替え、種の採取などの庭仕事がつづく。キッチンガーデンで収穫した野菜やハーブ、花はレストランやカフェでメニューとして提供したり、装飾に使用して庭と暮らす楽しみ方を提案している。10月下旬から11月にかけてベッドを整理し、ハーブの掘り上げや果樹の雪囲いなどの冬支度がはじまる。
ガーデンデザイナー、ダン・ピアソン監修のもと、イングリッシュ・ローズの生みの親、デビッド・オースチン・ロージズ社(英)のロザリアン、マイケル・マリオットとのコラボレーションによるバラの庭。十勝千年の森の気候に合うバラの品種をマイケルがアドバイスし、ダンがそれらを独自の植栽デザインによって組み合わせてデザインした。
一部のベッドでは八重咲きと一重咲きのバラを一緒に植栽し、それぞれの魅力を引き立て合うよう試みている。ローズガーデンの宿根草はバラと混植するのではなく、各ベッドや景石、フェンスに添わせるように独立させて植栽。バラの花を引き立てるような小花が美しいものを選んでいる。
2008年開園当初は宿根草の親株栽培や試験植栽をするナーサリー(圃場)として使用していたエリア。
2010年夏にローズガーデンとオーチャードを造る計画が本格化
2010年1月にマイケル・マリオットが来日。十勝年の森のローズガーデン予定地を訪れ、現場の冬のコンディションを確認するために視察。打ち合わせを行った。
2011年7月にダン・ピアソンが来日し、ベッドの位置出しなど最終的な工事準備を終え、同年11月より着工。翌春の仕上げ工事を残して冬を迎える。イギリスではダンとマイケルが最終的な品種選定の打ち合わせを進め、12月に植栽計画が確定。
2012年4月にイギリスのDavid Austin Rosesから裸根のバラ苗輸入。鉢上げと育苗は温室設備をはじめ、育苗環境の整っている真鍋庭園苗畑に依頼。真鍋庭園のガレージを借りて苗を品種ごとに振り分ける作業を行う。準備のできたものから真鍋庭園スタッフに手渡し、迅速に鉢上げ作業が進む。バラたちはこれから庭に定植する日までしっかりと鉢の中で根を回して時を待つ。
2012年5月ダン・ピアソン来日。ローズガーデン工事は仕上げ段階に入り、麦飯石を設置。
預けているバラたちに会いにダンと共に真鍋庭園訪問。オーガニック栽培を試みる十勝千年の森のためにニームオイルの散布などきめ細やかな管理のおかげで、バラは元気に育っている。真鍋庭園代表 真鍋憲太郎氏と話すダン。
2012年6月。約2年間の準備を経ていよいよ植栽工事が始まる。バラと宿根草を植栽。元肥には馬糞堆肥を使用している。
2012年7月のローズガーデン。樹高がまだ低いが、植栽から1ヶ月ほどで初めて花を咲かせたバラたち。2013年に拡張工事を行い、すべて合わせて1200株のバラが育つ。
十勝の厳しい冬を乗り越え、オーガニック栽培を実現する強くて健やかなバラの庭づくりに取り組んでいる。ローズガーデンの庭仕事は、早春に雪囲いを外してまもなく剪定と有機肥料の施肥からはじまる。開花が始まると、花がら摘みや夏の剪定作業を行う。秋にはすべての葉を取り、シュートを束ねて地表近くまで寝かせて、フリース(不織布)で雪囲いをする。丈夫で美しい品種を選び抜いていくこと、たくましいバラを育てる土づくりを課題にさまざまなオーガニック資材や土着菌からつくる発酵肥料などを試験使用しながら、十勝千年の森らしい野趣あふれるバラの庭づくりを目指している。
オーチャード(果樹園)は、リンゴを無肥料・無農薬で育てる自然栽培の第一人者、木村秋則氏の農法をベースに庭としての景観を重視して造るアップルガーデンと、ブルーベリーやハスカップ、ラズベリーなどの小果樹を栽培する2つのエリアから構成されている。ローズガーデンからつながりを持ってデザインされ、散策する人々は風景の移り変わりを楽しむことができる。収穫された果実はカフェやレストランのメニューとして提供している。
十勝千年の森のチーズ工房では国内では珍しくヤギの生乳からチーズを製造している。雄大な日高山脈の麓の放牧場ではヤギや羊がゆったりと草を食む牧歌的な風景が望める。飼育しているヤギは日本ザーネン種でスイスザーネンの改良種。起伏や傾斜などを好むため、地形を生かした放牧場内には緩やかな丘が広がる。ゴートファームでは餌やりなどを通して、ヤギと触れ合うことができる。